お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
考えた結果、電車を諦めてタクシーを呼ぶことにする。

「織部さん、いい香りがする……」と成田さんが私の髪に鼻先をくっつけるから、それを避けようとできるだけ頭を彼から遠ざける。

首が痛くなりそうな体勢でスマホに電源を入れ、検索したタクシー会社に電話したが、なかなか繋がらない。

数回かけ直してやっと繋がったと思ったら、配車の申し込みをするなり、《二時間待ちになります》と言われてしまった。


「えっ!? そんなに待つんですか?」


まだギリギリ終電前なので、すぐにタクシーを呼べると思ったが、甘かった。

よく考えれば、他の路線には終電時間を過ぎているところもあるかもしれないし、バスもそうだ。

公共機関での帰宅を諦めた客が、次々とタクシーを捕まえていると思われた。


「他のタクシー会社に連絡してみます」と言って切ろうとしたが、《どこも今は混み合っているはずですよ》と教えられる。

当然流しのタクシーも、空車の札をあげている車はないのだろう。
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