お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「わかりました」と言って配車の申し込みをせずに電話を切った後、私は困り果てた。
「成田さん、電車もタクシーも無理です。どうしたらいいですか?」と重たい彼に問いかけてみる。
まともな返事は期待していない。
「うーん」と唸った彼は、「気分が悪い。横になれるところに連れていって」と、わざとらしいほどにつらそうな声で答えた。
横になれる場所って……。
右を見れば、三十メートルほど先にラブホテルのピンク色のネオンが見える。
あそこに行くしかないのだろうかと考えたが、すぐに首を横に振った。
いくら具合が悪いと言われても、成田さんとあそこに入りたくないと、私の心が訴えている。
それならばと左を向けば、ネットカフェの看板が見えた。
入ったことはないけど、定住せずにネットカフェで暮らしている人もいると聞くから、中は個室で横になって眠ることのできるスペースがあるはずだ。
仕方ない、始発までネットカフェで過ごそうと決めたら、手に持つスマホが鳴り響いた。
もしかして、空車が出たとタクシー会社がわざわざ知らせてくれたのだろうか?
可能性の低い期待を抱いて画面を確かめずに耳に当てたら、《おい》と彰人の声がした。
「成田さん、電車もタクシーも無理です。どうしたらいいですか?」と重たい彼に問いかけてみる。
まともな返事は期待していない。
「うーん」と唸った彼は、「気分が悪い。横になれるところに連れていって」と、わざとらしいほどにつらそうな声で答えた。
横になれる場所って……。
右を見れば、三十メートルほど先にラブホテルのピンク色のネオンが見える。
あそこに行くしかないのだろうかと考えたが、すぐに首を横に振った。
いくら具合が悪いと言われても、成田さんとあそこに入りたくないと、私の心が訴えている。
それならばと左を向けば、ネットカフェの看板が見えた。
入ったことはないけど、定住せずにネットカフェで暮らしている人もいると聞くから、中は個室で横になって眠ることのできるスペースがあるはずだ。
仕方ない、始発までネットカフェで過ごそうと決めたら、手に持つスマホが鳴り響いた。
もしかして、空車が出たとタクシー会社がわざわざ知らせてくれたのだろうか?
可能性の低い期待を抱いて画面を確かめずに耳に当てたら、《おい》と彰人の声がした。