お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
その言葉に喜びかけた私だが、彼も今日は飲み会だったと気づき、「酒気帯び運転は駄目だよ!」と慌てて止める。

しかし《飲んでない》と言われる。


十五時からのレセプションパーティーでは、乾杯にシャンパンをひと口飲んだだけで、そのアルコールはすでに体から抜けている。

その後に個人的に誘った人と銀座の高級クラブに行ったが、アルコールを口にせずにお茶しか飲まなかったのだとか。

その理由を彼は、《嫌な予感がしたんだ。お前がこんなふうに馬鹿なことをやらかすような気がして。それで運転できるように飲まなかった》とため息交じりに教えてくれた。


普段の私なら、余計な心配しないでよとムッとするところだが、今は「心配してくれてありがとう。本当にごめん……」と謝るしかない。

それと同時に、宴会中も私のことを考えてくれたのかと、胸の奥が温められる。

申し訳なくも嬉しいような、照れくさいような……。


それから詳しい場所を告げて電話を切り、成田さんとビルの中に戻った。

エレベーターの横に階段があり、そこに彼を座らせて私も隣に腰を下ろす。

ここからだと出入り口が半分ほど見え、外の様子を確認できる。


すると「うーん」と唸った彼が、私の膝に頭をのせてきた。
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