お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
膝枕をしてあげたいとは思えないけど、相手は酔い潰れているため、仕方なくそれを許す。

そうしたら、ふとももに頬ずりされて、「ここじゃなくて、ベッドがあるところで寝たい」と甘えた声で言われた。


心に湧き上がるのは、成田さんへの嫌悪感。

もう交際しようとは思えない。

人に迷惑をかけるような飲み方をする人は、好きじゃないからだ。


ワインバーの中で右に左に揺れた心は完全に『交際しない』という結論に達する。

「今、私のルームメイトが車で迎えにきますので、家に帰ってからベッドで寝てください」と冷たく答え、その直後にハッとした。


彰人が私を迎えにきたら、専務と末端OLの秘密の同居がばれてしまうのでは……?


まずいと焦ったが、膝の上の成田さんを見て、すぐに大丈夫だと思い直した。

ひとりで歩けないほどに酔っている彼だから、彰人がうちの社の専務だと気づかないだろう。

私の場合、見合いをドタキャンして専務室に呼ばれたあの時まで、専務の顔さえ知らなかったのだ。

成田さんもきっと同じだと思う。

もし専務の顔を見たことがあったとしても、社内ならともかくこんな場所では、彰人から名乗らない限りわからないと推測した。

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