お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
そう、庶民的でガサツなところのあるこの私が、誰が一番、日本的な奥ゆかしさと教養のある淑女であるか、という対決を求められたのである。

私が勝てば専務の恋人であることを認めるが、負けたら同棲の解消と恋人を辞退することを条件に出された。


それを言った時の彼女たちは、自信ありげな顔をしていて、私に勝機はないと見ている様子であった。

大和撫子とは程遠い性格をしているし、それを隠すことなく過ごしてきたのだから、見下されても仕方ない。

つまりは、専務の彼女として相応しくないという自覚を私に与えて、自ら身を引く決断をさせようと目論んでの対決の申し込みだと思われた。


「こんな面倒くさいことになったのは、全て彰人が交際宣言したせいだよ」と非難すれば、横柄な彼は鼻を鳴らす。

濃紺のジャケットを脱いだ彼は、それを無造作にカウチソファの背もたれにかけ、片手で器用にネクタイを外している。

スーツのジャケットを見ながら「皺になるよ」と指摘したら、「クリーニングに出すからいい」と彼は答え、鼻歌を歌いながらキッチンへと歩きだした。

「お前、夕食まだだろ。なに食いたい?」と普通の調子で聞いてくるから、私は目を瞬かせる。


「ねぇ、まだ話は終わってないんだけど」

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