お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
すると彼は私の肩を掴んで冷蔵庫の扉に押し付け、豚肉を持っていない方の手を、私の顔の横に突き立てた。

これは、壁ドンならぬ、冷蔵庫ドン……?


強引な攻めに思わず鼓動を跳ねらせたが、負けてなるかと目力を強める私に、彼は拳ふたつぶんの距離まで顔を近づけて、ご機嫌な声色で言う。


「俺のために必死になるお前を見られる日がくるとはな。面白いことになりそうだ。恋人の座から転落しないよう、せいぜい頑張れ」


こ、この男は……完全に楽しんでいる。

腹黒く笑う彼に、私は呆れ顔になる。

そして、『誰が頑張るもんですか』という気持ちになり、彼を困らせてやろうと考え始めた。


嫌々だった見合い同様、対決をボイコットしようか。

もし無理やり連れて行かれたら、戦う前に『私の負けでいいです』と敗北宣言すればいい。


東条さんたちに負けたら、彰人の彼女を辞退することになっているけど、口から出まかせの恋人関係が解消されても私はちっとも困らない。

同居に関しては二カ月をやりきる予定でいた。

でも、こんな勝手なことをされるなら、それについても即終了で構わない。

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