お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
企み事は心の中だけで、ニッコリと作り笑顔を浮かべた私は、「彰人のために一生懸命、頑張るね!」と張り切ってみせた。


やらないよと今言ってしまえば、説得しようとする彰人との間で口論となりそうで、面倒くさい。

それに、当日になってからまったくやる気がないことを示した方が、より彼を慌てさせることができそうな気がした。


すると、冷蔵庫の扉に突き立てられていた腕が外され、その手の人差し指で彼が頬を掻いている。

頬は薄っすらと赤く色付き、目を泳がせて、急にたどたどしい話し方をする。


「いや……一応、良家のお嬢であるお前なら、対決内容に困ることはないと思ったんだ。だから、その、必死にならなくても余裕で勝てると、俺は信じている……」


それだけ言うと、彼は私に背を見せて調理台に向かい、まな板と包丁を取り出している。

そして、まな板の上にパックの豚バラ肉を置き、発泡容器ごと切ろうとしていた。

明らかに動揺している彼の耳は、茹でダコのように真っ赤である。

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