お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
茶道のお点前は、やらなくてもできる自信があり、和食料理はメニューを教えられていないので、なにを練習していいのかわからなかった。

やったことと言えば、着物の着付けを一回だけ。

学生時代に母に教え込まれた着付けの知識はまだ忘れずに頭に残されていて、すんなり着ることができたので、それでいいものとした。


練習は『少し』と答えた私に、彰人は前方に視線を向けたまま、面白くない顔をする。

「俺に対する熱意が足りない」と独り言のようにぼやいた彼に、『そりゃそうでしょ』と口に出さずに反論した。

私は本物の彼女ではないからだ。


同居は楽しいからもう少し続けたいと思い、この対決に挑む気でいるけれど、よく考えれば、あと二十日ほどで二カ月の期限がくる。

彰人と離れるのが寂しくて、自宅アパートに帰りたくないと思わないよう、あえてアッサリとした態度を取り、心を揺らさないように気をつけていた。

熱意が足りないと言われてしまうのは、そのせいだろう。
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