お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「たぶん大丈夫だよ」と私が適当な返事をしたら、車は立派な門構えの料亭前に到着した。


降車したら、すぐに門の内側から従業員男性が出てきて、その人に車を預けた。

ラフなワンピースにジャケットを羽織っただけという格好の私と、いつもと変わらず凛々しいスーツ姿の彰人は門を潜り、飛び石のアプローチを歩いて建物内に入る。


二階建ての純和風建築の料亭は、歴史を感じさせる古い建物ながら、床板が軋むこともなく、隅々まで手入れが行き届いて磨き抜かれていた。

一千万は下らないと思われる陶磁器や、著名な日本画家の作品が飾られて、ロビーはちょっとした美術館のようである。


格式高そうなこの料亭を、彰人は『俺の馴染みの』と言っていた。

一緒に暮らしていたら時々忘れそうになるが、彼はいいところのお坊ちゃまなのだと認識を新たにし、笑顔で迎えてくれた女将に連れられ、廊下を奥へと進んだ。


「こちらでございます」と案内された部屋は、【紅葉の間】と書かれていた。

その襖を開けて足を踏み入れた私は、目を瞬かせる。

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