お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
審査員は伝統やしきたりを重んじそうな、初老の女性である。

きっと審査員受けしないから、やめた方がいいと、小南ちゃんに教えてあげたくなったが、思い直してやめた。

それは敵に塩を送るのが嫌だという思いではなく、場の空気を読もうとしない、彼女のその自由さがありがたいと感じていたからである。


小南ちゃんがいてくれてよかった。

この対決の雰囲気を、馬鹿馬鹿しいものに変えてくれるから……。


最後に着物選びをした私は、生成り色の地に白と朱色の小菊が描かれた訪問着を手に取った。

色と柄が私の好みに合っていたということと、着物のままで四回戦までを戦うことになるので、振袖ではない方が動きやすいと考えたためである。


着物を決めたら、それぞれに与えられた姿見の前で着付けに入る。

娘の玉の輿を狙う私の両親の、「莉子、頑張れー!」という熱い声援が聞こえる。

それにやる気を削られながらも、長襦袢の時と同様に、最初に着終えたのは私であった。


早かった理由は、帯を二重太鼓というシンプルな結び方にしたせいもある。

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