お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「次は西尾さんですが……」と言って、審査員の女性は八点の札を上げた。

私の目には綺麗に正しく着付けたように映ったが、プロの採点は厳しい。

裾が五ミリほど短いことや、背中心の僅かなズレ、帯を結び終えたら外してしまう仮紐の扱い方にまで、基本と違うと指摘を入れていた。


西尾さんは残念そうに俯いて、肩を落としている。

きっと練習を重ねてこの場に挑んだであろう彼女に思わず同情し、慰めたくなった私であったが、「織部さん」と名を呼ばれて、前を向くしかなかった。


審査員が私に対して上げた札は、十点。満点評価だ。


「なにも指摘する点はございません。大変手際がよく、美しく着ていらっしゃいました。着付けを終えた後に、仮紐やクリップをすぐに片付けたところも、拝見していて気持ちのよいものでした」


手放しで私を褒めた婦人は、それから満足げな笑みを浮かべると、満点を与えた決め手を説明した。


「なにより、よい着物を選ぶ目を持っていらっしゃる。本当によくできた娘さんですこと」


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