お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
日常的な急須で淹れる煎茶と同じくらいに、茶筅を用いて抹茶をたてる茶道も、私にとっては自然にできることである。

私のたてた抹茶を飲み、茶碗を置いた審査員の中年女性は、「結構なお点前でございました」と言って微笑んだ。

それが心からの言葉であることは、思わず漏れた感嘆の息にも表れている。


湯を沸かした鉄釜の前に座す私の斜め向いに、彰人が正座している。

満足そうな顔をしている彼も、私を評価する。

「東条さんと西尾さんも上手にお茶をたてていたと思いましたが、私には織部さんのお茶が一番美味しく感じられました」と好青年を装った口調で褒めてくれた。

私に与えられた点数は、この種目も満点である。


彰人は、私が彼と同居を続けたくて戦っていると思っているのだろう。

半月ほど前に、『俺のために必死になるお前を見られる日がくるとはな』と言っていたし、今、私に向けられている彼の眼差しは、よくやったと言いたげな、上から目線の偉そうなものであった。


観客席からの拍手と、嗚咽まじりに私の名を呼ぶ両親の叫びを聞きながら、面白くない気持ちで床の間の掛け軸に視線を移した。
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