お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
東条さんたちは喜んで、観客席は騒めき、うちの両親はハラハラした顔つきになっている。

茶道具の撤収と料理対決の準備が始まったが、私はその場から動くことができず、座ったまま唖然として彰人を見ていた。


すると彼が私に歩み寄り、口の端をつり上げて言い放つ。


「これで終わったら面白くないだろ。愛しい男のために、もっと必死になって頑張れ」

「だ、誰が愛しい男なのよ!」


慌てて立ち上がった私は、調子に乗る彼を睨んで反論したが、クククと意地悪く笑われただけで効果はなかった。

彼はそのまま背を向けて、優雅な足取りで審査員席に戻っていく。

そのスーツの背中を見つめながら、私は唇を噛み締めていた。


私の料理の腕前が大したことないと知っているくせに、どうしてあんなルール変更をしてしまうのか。

口では頑張れと言いつつも、本当は私に負けてほしいの?

同居生活が面倒になって、もうやめたいと思っていたのかな……。


胸にチクリと痛みを覚えて、寂しい気持ちになる。

それはなぜかと考え始めたが、答えにたどり着かないうちに四回戦めが始まってしまった。
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