お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
座敷には長テーブルをふたつ繋げた簡易調理台が設置され、それが対戦者各自に与えられた。

調理台の上には卓上コンロとまな板、包丁や鍋などの調理器具が置かれ、食材は別のテーブルに山ほど積まれて並べられている。


審査員は和食料理の巨匠と呼ばれる初老の男性で、白い作務衣のような服を着て、板前帽子を被っていた。

一見して優しそうな顔をしているけれど、どうだろう。

甘い採点をしてくれないかな……。


これまでと違い、私は不安を抱えながら割烹着を着て、調理台の前に立ち、ルール説明を聞いている。

緊張しているのは、まだ対決のメニューを聞かされていないためでもあった。

難しい料理を作れと言われたら、甘い採点を期待するどころか、完成させることもできないかもしれない。

普段、手の込んだ料理をすることはないので、全くと言っていいほどに自信はなかった。


鼓動が嫌な音を立てる中、審査員席の向かって右端に座る和食の巨匠は、「卵料理を作っていただきます」と言った。

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