お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
きっと茶巾寿司だろう。

食材の種類の豊富さから考えると、何種類も作る気でいると思われた。


茶巾寿司か……すごいね。

難しそうに思えるから、私はこれまで挑戦しようと思ったこともない。

不恰好ないなり寿司で精一杯である。


手際よく調理を進める東条さんをぼんやりと眺めていたら、薄焼き卵を焼き上げた彼女が私の視線に気づいた。

そして馬鹿にしたように、鼻で笑う。

『勝ち目がないから、戦おうともしないのね』と言いたげな目を向けられて、それには少々ムッとするところであった。


まだ負けたと思ってないから。

私には彰人のレシピがある。

心を込めて丁寧に作れば、きっと勝てる……と思いたい。


開始から十五分近く経って、やっと私は卓上コンロを点火する。

昆布と鰹節でだしを取り、それを冷ましている間に卵をボウルに割り入れた。

醤油やみりんで味付けし、冷ましただしを入れて混ぜ合わせる。

温めておいた四角いフライパンに、おたまで卵液を流し入れて、整形しながら注意深く焼き、断面が綺麗な層となるように、それを繰り返す。

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