お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
彰人はスーツの上着を脱いでダイニングの椅子に無造作に投げ置くと、ネクタイを緩めている。

視線が合うと、「あのさ」というふたりの声が重なった。

緊張しながら彼の方へ近づいていくと、「なに?」と問われる。


「あ、ええと……私は後でいいや。彰人もなにか言おうとしてたでしょ。先に言って?」


彼を優先させたのは、告白から逃げたいという思いがあるためなのかもしれない。

作り笑顔を浮かべる私に彰人は、「あ、ああ……」と、なぜか戸惑っているような返事をする。

前髪を掻き上げるようにして後ろに流し、咳払いをひとつした後は、黙り込んでしまった。

デレモードに入っているわけでもないのに、目を泳がせている理由はなんだろう?


「彰人?」と呼びかければ、わずかに肩を揺らした彼が、すぐ横のカウンターテーブルに置かれた、小さめの紙袋を手に取った。

それを私に突きつけるようにして差し出す。


目を瞬かせて受け取った私は、「これなに?」と尋ねながら、紙袋の中を覗く。

仕出し屋のお弁当らしきものが見えたのと同時に、彼が説明を加えた。

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