お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
私はいつの間にリモコンを握っていたのだろう。

そして、大きさがかなり異なるのに、どうしてフィギュアを持っていると勘違いしていたのか。


混乱する頭に、動揺する心。

ごまかしようがないほどの焦りに羞恥が加わり、この場から逃げ出さずにはいられない。


「莉子ーー」と呼びかけられ、彼の右手が私の肩に向けて伸ばされたが、横にずれてその手をかわした私は、「そうだ、シャワー浴びてくる!」と叫ぶように言って、リビングから駆け出した。


バスルームに逃げ込むと、荒々しくドアを閉めて、背を預ける。

取りあえずの窮地から脱した気分で、ホッと息をついたら、腕に抱えている物にハッとした。

懐石弁当とリモコンを持って、どうやってシャワーを浴びるのよ……。


絶対に様子が変だと思われたよね。

どうしよう……。

これでは告白どころではなく、残りの三日を普通に過ごすのも難しい。

たったひと言、『好き』と口にすれば終わるのに、まさかこんなに大変だなんて思わなかった……。


臆病な自分に呆れる大きなため息が、バスルームの壁に反響していた。


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