お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
目が潤むのを感じたが、ここで泣いたら『どうした?』と問われることだろう。

帰りたくないと言えば、してやったりとばかりに『俺に惚れたのか』とニヤリとされそうなので、瞬きして涙を乾かした。

胸に迫りくる切なさをグッと押し込めた私は、ニッと笑って強気に言う。


「明日で二カ月だけど、彰人の思い通りにはならなかったよ。残念だったね」


告白できない弱虫のくせに、強がりだけ言えるとは、我ながら呆れるほどの可愛げのなさである。

彰人もそう感じるに違いない。

きっと彼は鼻で笑って、こんなふうに言い返すのではないだろうか。


『残念じゃない。お前みたいなガサツな女は、こっちがお断りだ。やっと煩わしい同居が終わって清々する』


上から目線の偉そうな態度が常の彼なので、今も必ず私を言い負かそうとしてくるはず。

そう思って待ち構えているのに、彼は私の方に体ごと向けると、真顔で「帰したくない」と驚くことを言った。

意表を突かれた私は目を瞬かせ、「え……? 今なんて言ったの?」と確認してしまう。


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