お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
彰人が言うには、私がカウチソファでうたた寝している時の半開きの唇には、男を惑わせる魔力があるらしい。

シャワーを浴びる音が聞こえれば、意思に反して欲情してしまい、こらえるのに苦労したそうだ。

朝、部屋から出てきた私がノーブラ、パジャマ姿で『おふぁよう』とあくびした時には、『こいつは……押し倒してやろうか』と怒りが湧いたのだとか。


それを『知らないのか』と非難されても、顔を熱くした私は「知るわけないでしょ!」と答えるしかない。


しかし、言い争っている場合ではないようだ。

彰人は私を抱えたまま、器用に自分の寝室のドアを開けている。

彼に抱かれるのは決して嫌ではないし、欲情を抑えられないというのであれば、百歩譲って今日結ばれるのもよしとしよう。

でも、少しくらいは、心の準備に時間が欲しいところだ。


ドア横の壁に手をかけて、連れ込まれるまいと抵抗する私は、声を張り上げる。


「待ってよ! まずはシャワーを浴びさせて。下着の準備とか、女は色々と手間をかけたいんだから」


それくらいのわずかな時間なら、彰人も我慢できるはずだと思ったのに、「今朝、シャワーを浴びてから出勤しただろ。それで充分だ。俺は気にしない」と淡々と言われてしまった。

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