お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
まだやるの?と呆れつつも、彼のように作りたいという向上心はあるので、素直に「はい」と受け取って、再度卵液を作り始めた。

それを腕組みしながら横で見守る彼は、私の手つきと人間性に、駄目出しを続けるのだ。


「卵の殻が入っても指摘するまで気づかない鈍感さと、醤油を入れすぎても『私はこのくらいしょっぱい方が好きなんです』と言い張る強情さ。それとーー」


がさつで不器用で、意地っ張りで可愛げがないと、偉そうな口調で散々けなしてくれる。

それに耐えて作り直しを重ねること五度目で、ついに私は彼と同じくらいに美しい、だし巻き卵を焼き上げた。


「できた! この完成度、どうですか。完璧です!」


味も確かめた後にそう言って、満面の笑みを向けたのに、彼は褒めてくれない。

それどころか、「なぜ得意げな顔をする? 五回作って進歩がないならアホだろ」と鼻で笑ったのだ。


この男は、なんて腹立たしい言い方をするのか……。

前言撤回。上司としても、彼はナシだ。


思わず頬を膨らませたら、「だが」と彼が急に声を優しくした。
< 52 / 255 >

この作品をシェア

pagetop