お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
朝からすでに卵二、三個分のだし巻きを口にしているというのに、昼まで食べるのは、私だったら苦痛だ。

せめて一食空けて、夕食にしようと思う。

それでも食べきれるかわからないぼど多量の、失敗作ではあるけれど。


私の問いかけに、彼は透明な容器の蓋を閉めながら、「なにを言ってる」と顔をしかめた。


「これはお前の弁当だ。作った責任を取って食え。まずくても、食べ物を粗末にするなよ」


「えっ!?」と声をあげた私は、焦りだす。

大きな容器の四分の三が黄色に染まった弁当なんて、ひとりでは無理だ。

食べる前から根をあげて、ただちに反論する。


「こんなに食べきれませんし、何度も作り直しさせたのは誰ですか。せめてお弁当箱ふたつに分けて、専務も手伝ってくれてもーー」


作りすぎは私のせいだけではないはずで、負担を半分ずつにすべきだというのが私の主張だ。

けれどもそれを遮るように弁当を押し付けられ、冷淡に言われる。


「俺はランチ付きで取締役会があるから無理だ」


それから立てた親指で彼の背後の壁を指し、「時計を見ろ」と真顔で指示される。


「文句を言うより支度したらどうだ。遅刻するぞ」

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