お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
言い終えると彼は前を向いて、ニュースのチェックに戻る。

『面倒に思うなら、最初から同居命令を下すな!』と心の中で叫びつつ、私は身を翻して玄関へと走った。

乗せてくれないのはわかったから、これ以上時間をロスするわけにいかない。


リビングで優雅に朝のコーヒーを楽しむ彼には届かないと思うけど、「意地悪!」とひと言非難してから、ドアを手荒に開けてマンションの廊下に出る。


デレモードの時の彼は可愛くてハマりそうだけど、ツンモードの時はなんて憎らしい男なのか。

俺様で常に命令口調なのも腹立たしい。


私と噂になるのは嫌だから、同居を誰にも知られるな、だって……?

こっちとしても、意地悪男となんか噂になりたくない。

昨日、茜には、同居に至るまでの事情を、愚痴として話してしまったけれど……。


まずかったかと気にしたが、茜にだけなら、まぁいいかと思うことにする。

卵ひとパックほどを使った、だし巻き弁当。これを食べるのを、茜に手伝ってもらわないといけないしね……。


朝から不満と言い訳で頭を疲弊させながら、私はタワーマンションの外の、眩しい夏空の下へと飛び出した。



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