お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
内緒の同居なので、ここで彰人の話をするのは危険だ。社食内でもそれは同じ。
すると茜に「ねぇ莉子、今日は外で食べよ」と提案される。
安い社員食堂を利用することが多い私たちだけど、月に数回は外食し、それを楽しんでいる。
給料も入って間もないし、財布も潤っている。
「いいね」と笑顔で賛同して、足を玄関ホールへと向けた。
「実は外食気分だったんだ。午前中はかなり働いたから、気分転換したい。クスノキ食堂にしない?」と私が言えば、茜はにっこりと頷く。
「そうしよう。あそこだと滅多にうちの社員に会わないから、ゆっくり彼の話を聞けそう」
「そういうことね……」
茜が外食を提案した理由は給料日後であることや、気分転換ではなく、それが目的のようだった。
クスノキ食堂は社屋から歩いて五分ほどの、商業ビルの中にある。
古いビルの地下にある食堂街のうちの一軒で、創業は昭和の中頃という年季の入った店である。
そこに着くと、ドア横にはオムライスやミックスフライなど、どれも色褪せた食品サンプルが飾られ、置き看板のプラスチック板は今日も直されることなく大きなヒビが入っていた。
すると茜に「ねぇ莉子、今日は外で食べよ」と提案される。
安い社員食堂を利用することが多い私たちだけど、月に数回は外食し、それを楽しんでいる。
給料も入って間もないし、財布も潤っている。
「いいね」と笑顔で賛同して、足を玄関ホールへと向けた。
「実は外食気分だったんだ。午前中はかなり働いたから、気分転換したい。クスノキ食堂にしない?」と私が言えば、茜はにっこりと頷く。
「そうしよう。あそこだと滅多にうちの社員に会わないから、ゆっくり彼の話を聞けそう」
「そういうことね……」
茜が外食を提案した理由は給料日後であることや、気分転換ではなく、それが目的のようだった。
クスノキ食堂は社屋から歩いて五分ほどの、商業ビルの中にある。
古いビルの地下にある食堂街のうちの一軒で、創業は昭和の中頃という年季の入った店である。
そこに着くと、ドア横にはオムライスやミックスフライなど、どれも色褪せた食品サンプルが飾られ、置き看板のプラスチック板は今日も直されることなく大きなヒビが入っていた。