お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
他にもある。

同居四日目の夜に、テレビCMで流れた新発売の炭酸飲料がどうしても飲みたくなり、二十三時を過ぎてからコンビニに行こうとしたら、『女が夜中にひとりでうろつくな。危ないだろ』と心配されて止められた。

コンビニは割と近くにあり、田舎じゃないのでこの辺は夜道も明るい。

大丈夫だと思い、絶対に行くと言い張って口論した結果、ジュース一本のための買い物に、ボディガードとして彼がついてきてくれたのだ。


トイレットペーパー切れに気づいた夜は、まだ帰宅していない彼にメールで伝えたら、買ってきてくれたし、『ついでの土産だ』と苺のショートケーキまで付いていた。


それを話すと、「ほら、やっぱり楽しそう!」と茜が笑ったところで、注文した料理が運ばれてきた。

茜の前には熱々の海老グラタンが、私の前には大きなカットの牛肉がゴロゴロ入った、濃厚デミグラスソースのビーフシチュー。

それぞれにサラダとバターロールが付いているのも、嬉しいところだ。


「いただきます!」と気持ちを完全に料理に向け、私はビーフシチューを頬張る。

けれども、ほんの二、三口食べたところでスプーンを止め、はたと考え込んだ。


あれ、ここのビーフシチューは大好きなはずなのに、今日は感動できない。

美味しいけれど、普通に感じてしまうのは、なぜ……?

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