お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
その原因にすぐに思い当たった。

三日前の日曜の夕食に食べたビーフシチューが、絶品だったからだ。


もちろん作ったのは彰人で、昼前から煮込んでいた。

彼のこだわりの詰まったビーフシチューは、それはそれは美味しくて、お代わりしたら、『手伝いもしなかったくせに図々しい女だ』と呆れられた。

でも、その言い方は決して不愉快そうではなく、むしろ嬉しそうに見えた。

これは!と思い、すかさずビーフシチューを褒めまくったら、彼は頬を染めて『そんなに旨いと思うなら、また作ってやる』と照れたのだ。


褒めるとデレモードに入る彼。

普段、横柄な分、デレる彼が可愛く思えて、私の胸はキュンと音を立てる。


喧嘩ばかりの私たちだけど、口論の後には言い過ぎたと思うのか、彼がフォローに入る時もある。


今朝の目玉焼きでの喧嘩は、食い意地が張ってるとか、いちいち生意気だとか、私の欠点をズバズバ突いてきた後に、『色々言ったけど、お前の裏表のない性格は嫌いじゃないぞ。俺に対して媚びない女は初めてだ』と急に褒めてきた。

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