お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「喧嘩するほど仲がいいと言うじゃない。ぶつかり合うのはお互いに興味を持っている証拠だよ。ふたりの生活スタイルが確立するまでに必要なプロセスなんじゃないかな。相性バッチリだね」
スプーンにのせた牛肉を茜に向け、「食べる?」と問うと、彼女が大きな口を開けた。
そこに入れてあげながら、私は『そうなのかな……』と考えている。
茜の言うことは一理ある。
お互いにどうでもいいと思っていれば、わざわざエネルギーを使って喧嘩しないよね。
私と彰人は、喧嘩するほど仲がよくて、相性がいいのだろうか……。
お返しにと、茜はグラタンをひと口、私にくれて、そのクリーミーさと海老のプリプリ感をしばし楽しむ。
口の中にビーフシチューとは異なる味が広がれば、頭の中にも違う考え方が枝葉を伸ばした。
相性がよければ、ぶつかることなく、最初からうまく暮らしていけるのでは……?
それは私らしい考え方で、茜のポジティブシンキングにまたしても引きずられそうになっていたことに気づく。
危ない、危ない。
うっかり現実を見誤り、今晩、帰ってきた彰人に、『私たちって相性いいよね』と言ってしまうところだったよ……。
その後は彰人の話はせずに、食べるペースを上げる。
気づけば腕時計の針は十二時四十八分を指していて、お昼休みはもうすぐ終わりそうな時刻であった。
スプーンにのせた牛肉を茜に向け、「食べる?」と問うと、彼女が大きな口を開けた。
そこに入れてあげながら、私は『そうなのかな……』と考えている。
茜の言うことは一理ある。
お互いにどうでもいいと思っていれば、わざわざエネルギーを使って喧嘩しないよね。
私と彰人は、喧嘩するほど仲がよくて、相性がいいのだろうか……。
お返しにと、茜はグラタンをひと口、私にくれて、そのクリーミーさと海老のプリプリ感をしばし楽しむ。
口の中にビーフシチューとは異なる味が広がれば、頭の中にも違う考え方が枝葉を伸ばした。
相性がよければ、ぶつかることなく、最初からうまく暮らしていけるのでは……?
それは私らしい考え方で、茜のポジティブシンキングにまたしても引きずられそうになっていたことに気づく。
危ない、危ない。
うっかり現実を見誤り、今晩、帰ってきた彰人に、『私たちって相性いいよね』と言ってしまうところだったよ……。
その後は彰人の話はせずに、食べるペースを上げる。
気づけば腕時計の針は十二時四十八分を指していて、お昼休みはもうすぐ終わりそうな時刻であった。