お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
午後も忙しく時間が過ぎる。
十四時から始まった営業部の全体会議は、十五時半頃に終わり、私はひとり、二階にある大会議室の後片付けをしている。
会議で使用したプロジェクターやホワイトボードを所定の場所に戻し、机や椅子を整頓する仕事は私たち事務員が交代で行なっていて、今月の当番が私であった。
その仕事を十分ほどで終わらせ、大会議室を出たら、廊下で彰人と鉢合わせて驚いた。
高身長で程よく筋肉質の彼は、今日も高級スーツを凛々しく着こなし、とても素敵だ。外見だけは。
この二階は会議室が集中しており、大きさ様々に十二室ある。
彼は隣に他部署の部長を従え、会話しつつこの階の廊下を歩いているところを見ると、営業部と同じ時間帯に彼も別の会議に出席していたのかもしれない。
それを終えてエレベーターへ向かっているような様子で、片手に資料と思しき用紙の束を抱えていた。
私たちの距離は、まだ三メートルほど空いている。
私の姿を見つけて、彰人もその表情に微かな驚きを滲ませる。
彼とは業務上の直接的な接点はなく、広い社屋の廊下ですれ違うことは、非常に稀であるからだ。