お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
至近距離で見つめ合う私たちは、『どうする?』と同じことを、声に出さずに相手に問いかけているような気がする。
「専務、いらっしゃらないのですか?」と問いかけられた彰人は、「いる。ちょっと待て」と返事をしてから、しまったと言いたげな顔をした。
電子錠で施錠されたドアは、外側からは開けられないので、居留守を使った方がよかったと気づいても遅い。
私を囲う腕は外され、私たちの距離は半歩ほど開いている。
『馬鹿じゃないの?』と口パクで彼を罵ったら鋭く睨まれたが、喧嘩している場合ではない。
手首を掴まれ、「来い」と小声で命じられて奥へと引っ張られた。
「な、なに?」
「隠れろ」
押し込まれた場所はL字型の執務机の下だ。
机には木目の背板が付いており、足元が見えないため、隠れるにはもってこいの場所である。
急いで執務椅子に座った彰人の足が、膝を抱えて座る私の、すぐ目の前にある。
キスされそうになった時とは違う、嫌な緊張の中で電子錠が解錠された音がして、続いてドアが開く音と「失礼します」という西尾さんの声を聞いた。
「専務、いらっしゃらないのですか?」と問いかけられた彰人は、「いる。ちょっと待て」と返事をしてから、しまったと言いたげな顔をした。
電子錠で施錠されたドアは、外側からは開けられないので、居留守を使った方がよかったと気づいても遅い。
私を囲う腕は外され、私たちの距離は半歩ほど開いている。
『馬鹿じゃないの?』と口パクで彼を罵ったら鋭く睨まれたが、喧嘩している場合ではない。
手首を掴まれ、「来い」と小声で命じられて奥へと引っ張られた。
「な、なに?」
「隠れろ」
押し込まれた場所はL字型の執務机の下だ。
机には木目の背板が付いており、足元が見えないため、隠れるにはもってこいの場所である。
急いで執務椅子に座った彰人の足が、膝を抱えて座る私の、すぐ目の前にある。
キスされそうになった時とは違う、嫌な緊張の中で電子錠が解錠された音がして、続いてドアが開く音と「失礼します」という西尾さんの声を聞いた。