お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
同封されている小さな紙の説明書には、【ピンクシーファンタジア・ナマコの一種】と書かれている。

そのフィギュアはナマコというより、見た目はクラゲに近く、薄ピンクの透明な体の中に消化器官が透けている。

おとぎの国の生物のような名前をつけられていても、なかなかのグロテスクな見た目だ。

それでも親指大のフィギュアにすれば、なんでも可愛く見えてしまうのが不思議なところである。


手のひらにのせた深海のナマコをうっとりと見つめ、「素敵」とため息交じりに呟いたら、シークレットに出会えたこの感動を今すぐ誰かに伝えたくなる。

それで部屋を出てリビングに駆け込むも、そこに彰人の姿はなかった。


あれ、昼食後はカウチソファに寝そべって、テレビでサッカー中継を見ていたはずなのに、どこへ行ったのだろう?


廊下へ引き返し、「彰人!」と大きな声で呼びかければ、「なに?」という返事が彼の寝室から聞こえた。

居場所がわかったので、そのドアを勢いよく開ければ、彼はスーツのズボンを穿いて上半身は裸だった。

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