無敵の剣
知らぬが仏
戦の褒美を貰う為

会津藩が陣を敷く黒谷へ

会津公が、私を連れてこいと言ったらしく
近藤さんに同行している





ヒソヒソと話し声




耳の良い私には、内容がまるぎこえ





会津藩から、新選組に移ったという
私は、相当な嫌われ者



そんな事、気にせず歩いている


だって、ここにいたのは
私の名前を使った、壱なんだから




近藤さんの護衛としてきている
永倉さんも耳が良いらしい



「チッ るせぇんだっての」



小さく悪態をついている



池田屋でも、永倉さんは藤堂さんを
守った


暗闇で、藤堂さんの位置を正確に把握
手に怪我こそしたが、彼はかなり強い



沖田さんも手こずるのでは?






褒美の受け渡しが終わると



「斎藤と話をしたい」



会津公の指示で、人払いされ
2人きりになる




「新選組を出る手伝いをしよう」




私は、固まった

会津公の意図するものが、理解出来ない



「本物の一から、事情は聞いている」


…本物?






「一を呼んでこよう、待っておれ」




会津公が、にこやかに言い退室




すぐに会津公と壱が




ゾクリとするほど、私とそっくりな壱

長く会っていなかったのに
ますます似た容姿になった



「壱、服を脱げ
俺が新選組に入る
女の身で、刀を振り続けるなんて
大変だろう?」


私を壱と呼び
パサリと女物の着物を一式投げてきた


会津公の前で、女ということをバラされた



これじゃ… もう、戻れない















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