無敵の剣
「ネコ?どこにいるの?ネコ?」



娘がひとりヨタヨタと猫を探していた



「おい、お前じゃないのか?」


寝ている猫に声を掛ける

私の声に驚き、娘がこちらを向いた


「誰!?」



娘を見て、すぐに盲目なのだとわかった




「斎藤一 猫なら、私の膝でぐっすりだ」



「私は、雪」



娘が、右手を差し出した

その手を取り、猫の上に導いた



「よかった~ 私の猫よ」



「この猫も雪のように白い」



私が何の気なしにそう言えば



「そうなの!?ふふっ猫~」



それから、娘は江戸から来たのだと話してくれた
私も江戸から来たと話した

盲目になり、猫とともに家を出されたのだとか


似た境遇だが、娘はどうやって生活をたてているのか気になった



私が、野宿する場所を探し、猫と出会ったと知ると


「斎藤さん!私の用心棒になってよ!」


「……」



この娘にどんな危険があるのか

返答に困っていると


「部屋ならあるの!一緒に暮らさない?
私、さみしいの
猫は、気まぐれだから
ね!? お願い!!!」



「こちらが頭を下げて頼むべきなのに…
迷惑でなければ、よろしく頼む」


「頭なんて下げないで!!見えないし!
うふふっ!!嬉しい!!
さっ!帰りましょう!!!」






〝帰る〟












私に、帰る場所が出来た



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