無敵の剣
ゴンッ




柱にぶつかった




「斎藤さん、勘で歩くからよ
しっかり床を感じて!この家の空間を
頭に思い描いて、柱の位置とかを覚えていくのよ」



雪の教えで、目を瞑っても歩けるようになった 

ツルッ ゴテンッ!!



「うふふっ いつも同じだと油断してると
こうなるのよ!? 空気の流れや天候を感じて!変化を吸収するのよ」



小雨で濡れた床でこけた

なるほど…



耳や肌、鼻、全てが目になっている




私が素振りをしながら
考えごとをしていると



「悩みごと?音がいつもと違うわ」



雪には、私の全てが筒抜けだった




「凄いな…」


「うふふっ ありがとう!
病になり、目が見えなくなって
失ったことよりも、こうして得た感覚が
斎藤さんの役にたっていることが嬉しい!」


雪は、無邪気に笑った




「強いな」



「刀は、振れないけどね!」





雪との生活は、楽しかった

学ぶことが多く、夢中になった



私は、雪に心を開いた




「私は、忌み子なんだ…
だから、雪が私を受け入れてくれて
本当に嬉しいんだ」



「忌み子って…斎藤さんも双子なの!?」




「も?」



「私も忌み子なのよ!
だから、生まれてすぐに家族と離されて…
おまけに病でこの有様!
お金は、知っての通り毎月給付されるけど
さみしかった…
このまま… ひとりで死ぬ事が…
ネコを遺して逝くことがね」



似た境遇と思ったが、生い立ちも
私たちは、似ていた



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