無敵の剣
私に出来ること
新選組に戻る前夜


「私は、もう… 戻れないでしょう
斎藤君が、私の分も新選組で活躍してくれるでしょうけど… 
叶うなら、もう一度
皆と力の限り、闘いたかったなぁ」



暗闇の中、隣の布団から
ポツリと沖田さんが呟いた



「池田屋で…」


「え?」



私の声が小さかったから、沖田さんが
ゴロンとこちらに寝返りを打った


「平助が怪我したでしょう?」


「うん…」


「おかしいと思ったんだ」





沖田さんは、私の次の言葉を待った





「平助は、魁先生なんて呼ばれてたし
腕も良かった
暗闇と店の狭さが、長い刀を使う平助には
不利だったのかと思ってた」


「そうじゃないの?」


「平助は、人が斬れなかったんだ」


「え!?」


「私が、女だと隠していたように
平助は、こんな大事な事を隠してた
私達は、良く似ていたんだ
自分の弱さに贖罪の気持ちがあり
強くあるために、私達はお互いを守った
平助だけは、助けたかった
私の代わりに御陵衛士に残った時点で
人が斬れない平助は、命を危険にさらしていた… 鈴木が、それを狙っていたのに
伊東さんが、そう仕向けたのかも
私は、全部知っていたのに…」



「斎藤君… その悔しさは、君を強くするよ
次は、必ず守れるよ
斎藤君は、努力している
必ず、その努力は、酬われる
私が、君の活躍を保証するよ」



「沖田さん… 私も斬れるかわからない…
ネコ達を殺された時に、鈴木を憎いと思った… 殺したいとも…
でも、斬れなかった あの場は、斬らなくて良かったけど…
もしも、大事な場面で斬れなかったら…」



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