無敵の剣
さよなら…
おかしい…





山崎さんなら、到着していてもいいはず





先に大阪へ行ったのだろうか




いや、土方さんの事だ

山崎さんに私を連れて来いと
命じているはず




隠れて様子をみていると




「山崎さん!!」


「さい… よか… 無事で… 」


フラフラで、よくここまで歩けたと
感心するほどだ



山崎さんの肩からは、大量の出血



私は、山崎さんの手当てをした



「完璧やな…」


「山崎さんが教えてくれたんだろ」


「斎藤… 行け… 俺を置いて
副長のもとに行ってくれ」


「…アホ」


私は、山崎さんにいつも言われる言葉を
返して微笑んだ



「私達、揃ってないと」


山崎さんは、怪我に手を当て
涙を流した



この人は、人情に厚く
私の代わりに泣いてくれるような
優しさを持ち、影に徹して
土方さんに命を捧げ尽くしている



「副長に会わす顔があらへん」


「あるだろ その顔、しっかり見せろ」




たとえ、助からない怪我だとしても
山崎さんを連れて帰らなければと
使命感があった




山崎さんに肩を貸して





大阪までの道を歩く


早く追いつく為に
山崎さんが意識を失うとおんぶして


よたよたと歩いた



生きて会わせたい!




私は、体力の消耗も気にせず
ひたすらに歩いた






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