無敵の剣
帰り道




すっきりしたからか
自然とニヤニヤしてしまう







突然の実家訪問の翌日

見事に熱を出した沖田さんの看病も
楽しいほどだった

数日後


高島さんが、沖田さんに食べさせるようにと卵を持ってきてくれた


「もうひとり、孫が欲しいと思っているんだが?」


沖田さんに、催促をする


「私は、そういった夫婦のようなことは
遠慮します!」


「夫婦だろう」


高島さんが微笑む


「子は、可愛いぞ!?
子の為なら、病も治すだろう!」



大きな笑い声をあげ、帰って行った



「なにあれ?冷やかしに来たの?」


私は、沖田さんの手に自分の手を重ねた


「子守りをしていて、私も子が欲しいと
言ったのを聞きつけたようですね」


「全く!気が早いというか!なんて…」


私は、沖田さんの手をぎゅっと握った


「男なら、宗次郎さんが剣術を
女なら、私が舞踊を教えましょう
きっと、凄く可愛いと思うんです!
私… ちゃんと聞こえましたから
私に惚れているって」


「君が好きなのは、土方さん
私も土方さんの事は、好きです
だから… 
好きでもない私に抱かれようとしないでいいんですよ
子が産まれるまで、生きていられない体で
残された妻と子がどんなに苦労するか
悩みながら、死にたくないからね」



「佐代子は、祝言で初めて顔を合わせたって
…恋心は、なかったけど
今、旦那様も子も、愛おしくて仕方ないって言ってた
私は、沖田さんが好きだし、宗次郎さんの妻なのに… 」



「うん!雪は、私の妻!
体は繋がらなくても、心が繋がっている
もしも、病が治ったら、遠慮なく
私のものにします!」



明るい陽だまりのような笑顔で
私を包んでくれる




死なせたくない



沖田さんを




もっと、生かしたい







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