無敵の剣
私じゃない


そう言っても、誰も信じないだろう


返り血も浴びていないのに











追い出す理由が出来て、よかったね







踵を返した






「ちょっと!!一!!待ちなさい!!」



風呂敷を持った母が、裸足で私の前に立つ




「一、持って行け!」



兄が、金の入った袋を

父が、ここに身を寄せろと知り合いの所を書いた紙を差し出した



私の背中で、姉の泣き崩れる声





なぜ、こんなにも私は、冷静なのか






「いらない 迷惑掛けて、悪かったな」





唖然とするその隙に
スタスタと来た道と反対に向かった





もう、ここは私の家じゃない
奉公先にも帰れない















私は、全ての居場所を失った





不思議と悲しくはなかった





私は、私になれる







そんな気がしたから




















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