妹幽霊 兄と過ごした七日間


「ごめん」

「……いいけどさ。母さんも変な顔はしてるけど、昨日説明したこともあって何も言わないし」

「ナイス、お兄ちゃん」

「でも二杯目は駄目」

「……ケチ」



 お兄ちゃんは怒りながらも、仕方がないというように椅子に座り直す。


 あたしたちが喋らなくなると、ツクツクボウシが鳴く声が聞こえてきていた。もうじき夏が終わる。夏休みも終わっちゃう。



「お兄ちゃんがちょうど夏休みでよかった。高校はどう?」

「どうって言われてもな。楽しいよ」

「自殺……しようとしたのに?」

「……あ、あれは……っ」



 責めるつもりなんてなかったし、聞くつもりもなかった。でも。


 全て健康で、好きな時に食べて遊んで勉強して、自由に生きている。
 そう。
 生きているのに、どうして死にたいって思っているの?

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