妹幽霊 兄と過ごした七日間
「死ぬつもりなんて、なかった」
「嘘」
「真似事だよ」
「だって、お兄ちゃん……」
「本気じゃない。オレは生きたくもないし、死にたくもない」
生きたくない。
その気持ちがよくわからない。
なんてわがままな考えなんだろうって、怒りしかない。
わたしも普通の中学生だったら、簡単に死ぬことを考えていたの?
生きることを簡単に諦められるの?
「受け入れられると思うか? 妹が死んだんだぞ。詩月が生まれて喜んだ日から、ずっと一緒にいたんだ。ずっと……っ」
冷水を浴びたかのようだった。
お兄ちゃんはわたしを失った、わたしがいない世界で生きていかなきゃならないんだ。
辛いに決まってる。弱気にだってなる。
忘れていたわけじゃない。
ただお兄ちゃんに会えたことが嬉しくて、幽霊であることも、別れなきゃいけないことも考えたくなかっただけ。