10歳の年の差はどうやって埋めますか?
何だか40歳過ぎの女と並んで歩かせるのは気の毒だ…、とっさにそう思ったのだ。

「悠希さん?」

「いいえ、何にもありません。」

そうなのだ。

こないだはそんなに感じられなかった年齢差を、今まざまざと見せつけられたような気がしたのだ。

好きと言われて舞い上がる前に、もっと自分の事を顧みなくちゃいけなかったんだ…。

途端に私はいたたまれなくなった。

「悠希さん、中に入りましょう。」

松田さんは私の手を取ろうとした。

私は思わず、手をひっこめてしまった。

「悠希さん?」

「あっ、ちゃんと松田さんについていきますから大丈夫ですよ。」

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