10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「でもあなたと美術館以外にも行きたいと言ったのは本当の私の気持ちです。…横に居て欲しいとも思ってしまうんです。」

私は今の気持ちを精一杯言葉にした。

「そうですか。」

松田さんににんまりと笑った。

「きっと悠希さんに私の事を好きだと言わせてみせます。だからもう遠慮はしません。」

「今までだって遠慮なんてしていないでしょ?」

私はこれまでの事を思いめぐらす。

背の高い10歳年下の彼の胸に包まれる。

「何を言っているんですか。随分私は悠希さんに紳士的に振る舞ってきたつもりですよ。」

松田さんの腕が震えているように感じる。

そして私の額にキスをした。

「ちゃんと私とお付き合いをして下さい。」

もう私の負けだ。

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