イジワル上司にまるごと愛されてます
「ツェリン、考え直してくれたんですね!?」
「うん。『次はいい内容のメールを送ります』って言ってくれたよ!」
「わぁ、やったぁ! 来海さんのおかげです。来海さんのそういう積極的なところ、好きですぅ!」

 隣の席から真子に抱きつかれ、来海は照れ笑いを浮かべた。

「そういうのって“猪突猛進”って言うんじゃないの?」

 隣のシマから、敦子が冷ややかな声をかけた。

 向こう見ずに突き進む、という意味の言葉を言われて、真子がムッとする。

「七瀬主任のおかげで取引が成立しそうなんですよ」
「あら、そんな小さな取引をまとめたって、業績にはたいして影響は出ないわよ」

 敦子に小馬鹿にしたように言われ、来海はキュッと唇を引き結んだ。確かに輸入額・売上額の点ではどうあがいても先進国の多いヨーロッパ・アメリカ地域には勝てない。アジア・アフリカ地域担当の社員たちが、ヨーロッパ・アメリカ地域担当の社員たちに引け目を感じていない、と言えば嘘になる。そんな雰囲気を変えたくて、来海は大きく息を吸い込んで言う。
< 86 / 175 >

この作品をシェア

pagetop