イジワル上司にまるごと愛されてます
「そ、そうだったわね。言い過ぎたわ。ごめんなさいね」

 小さな声ではあったが、敦子が素直に非を認めたことで、真子は満足そうにうなずいた。

 来海の一年後輩で、ヨーロッパ・アメリカ地域担当の男性社員が、人のよさそうな顔で微笑みながら口を開く。

「妹がアジアン・テイストの雑貨が好きで、フィーカのものをよく買うんですよ。僕が企画した雑貨は買ってくれないんですけどね」

 最後の一言に笑いを誘われ、オフィスの雰囲気が一気に和やかになった。おかげで険悪なムードが解消されて、来海はホッと胸を撫で下ろした。



 その日の昼休み、来海は茉那と一緒にいつものカフェに向かった。今日は二人ともオムライスプレートを注文した。

 給仕されたオムライスを食べながら、来海はしみじみとした口調で言う。

「茉那とこうやってランチを食べるのも、しばらくお預けかぁ」

 茉那は明後日から産休に入るのだ。
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