イジワル上司にまるごと愛されてます
 来海は怒りを込めてスプーンでオムライスをグサグサと刺した。茉那はなにか考えるような表情で食べていたが、オレンジジュースを飲んで口を開く。

「雪谷くんって、好きでもない女性を抱きしめたりするような人だったっけ?」
「え?」

 来海はスプーンを刺す手を止めて茉那を見た。茉那は真顔で話を続ける。

「恋愛に興味はなさそうだったけど、少なくともそんな人じゃなかったと思う」

 来海は唇を引き結んで視線を落とした。

(確かに……四年前までの柊哉には浮いた噂も軽い言動もなかったけど……)

 茉那が来海の顔を覗き込む。

「それに、大事なことを教えてもらってないけど、こんなふうに悩むなんて、来海も雪谷くんのことを好きなんだよね?」

 ずばり訊かれて来海の頬が赤く染まり、茉那が優しい声で問いかける。

「……ずっと、好きだったんだよね?」

 来海は目に熱いものが込み上げてくるのを感じ、ぐっと歯を食いしばった。そうして小さくうなずく。
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