蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~


「……それなら佳一郎さんもいらっしゃらないわよね。残念だわ」


そこで私ははっきりと思い出す。

言葉は交わさなかったけれど、父に連れられて参加した何かのパーティで、彼女の父親の姿をちらりと見かけている。

そして、彼女の「佳一郎さん」という甘えた声を私は電話越しに聞いている。

彼女が佳一郎さんを気に入っているという中佐都建設の娘さんだ。

佳一郎さんと兄の三人でお昼を食べたかったから、ふたりには早く戻って来てもらいたかったけれど、彼女の登場にすぐさま考えが変わっていく。

急いで帰って来なくて良いからねと、どこかで頑張っているだろう兄に向かって私は念を飛ばしたのだった。



+ + +



休憩に入りスマホを確認すれば、兄からメッセージが一件入っていた。

会議を無事に終え社に戻っている途中ではあるけれど、道路が混んでいるため私の休憩時間にあわせられるかどうかがわからないらしい。

そのため最後には、また今度にしようという一文が続けられていて、感じた寂しさは自分で思っていたよりも大きいものだった。

それを吹き飛ばすべく、なおかつ気分もあげるべく、私は昼休憩に入るとすぐに以前から気になっていたおむすび専門店に向かった。

店内のイートインスペースでお腹を満たした今、私はすっかり幸せ気分である。


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