蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
会社に戻るべく、大通り沿いの歩道をのんびりと歩いていく。
兄や佳一郎さんと一緒に食事ができなかったことは寂しくもあったけれど、改めて考えれば、やっぱりそれで良かったのかもしれないと思えてくる。
中佐都建設の方たちが社を出たのは、私が休憩に入る十五分ほど前のことだった。
兄に挨拶がしたい、だからまだ帰りたくないと、娘さんが粘っていたらしいのだ。
それを思えば、兄たちが早く戻って来ても、ふたりと一緒に食事に行けたのは私ではなく彼女の方になっていた可能性が高い。
兄と三人ならまだいい。
もし佳一郎さんだけが彼女に連れて行かれてしまったとしたら、私は気が気でなくなり、お昼ご飯が喉を通らなかったことだろう。
それなら、今の方が断然良い。
兄たちとはまた一緒に食べる機会はあるだろうし、なにより佳一郎さんとはこれから何度でもふたりで食事をする機会を得られるはずだ。
できれば会社から遠く離れた場所で、しっとりとした大人の雰囲気の中で食事をしたい。
想像するとまた楽しくなり、進む速度が少しずつ速くなっていく。
佳一郎さんが帰って来たらすぐに顔を見られる場所にいたい。