蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
従順、お手伝いさん、残りの人生すべてを倉渕家に捧げたら良い。
やっぱり、それらの言葉が引き金になっているのだろうか。
仕事では兄のサポート役として、プライベートでは私の恋人として、確かに彼の人生に倉渕家の人間が深くかかわりを持ってしまっている。
中佐都さんの言葉が胸に突き刺さり、全てが嫌になってしまったとしたら、もっと違う人生を歩みたいと考えてしまったならば……想像しただけで、悲しくなってくる。
手提げの紙袋を持ちなおしてドアをノックし、返事を待ってから私はゆっくりとドアを押し開けた。
ドアの隙間から顔だけ出して副社長室内に視線を走らせると、すぐにデスクで仕事をしている兄と目が合った。
「花澄、まだ帰ってなかったのか。どうした?」
室内へと身体を滑り込ませて、ドアの前から兄に問いかける。
「佳一郎さんは?」
「ここにはいない。帰りますとも聞いてないから秘書室にいると思うけど……それより、お前たち喧嘩でもしたのか?」
喧嘩はしていないけれど、兄からの一言にドキリとさせられてしまった。
「午後……佳一郎さんどんな様子だった?」
「いつもより精彩を欠いているように思えたからどうしたのか聞いたら、反省中ですって言ってたぞ」
「……反省中」