蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
父に用事があり会社を訪ねた時、父の秘書を長年務めてくれているベテランの男性秘書と共に私を社長室まで案内してくれたのが彼で、その時から既に、中條さんは冷たい印象を相手に与えてしまうほど冷静沈着な人だった。
これから兄の秘書になると知った瞬間、この人はお兄ちゃんと上手くやっていけるのだろうか、優秀なお兄ちゃんの足手まといにならないだろうかと心配になってしまったけれど、すぐにそれは私の杞憂だったと思い知らされる。
中條さんも、お兄ちゃんに負けないくらい優秀な男性だったのだ。
時々、あのお兄ちゃんに冷静な突っ込みを入れているのを見かけてしまえば、中條さんが上手く立ちまわっているからこそ、お兄ちゃんが十分に力を発揮できているのだろうということも想像がつく。
お兄ちゃんと中條さんはお互いの事を深く理解し信頼しているように、私には見える。
時々は仕事のことではなく、プライベートな話をしているようだけれども……私には中條さんのプライベートがまったく想像できない。
どこに住んでいるのかとか、休みの日に何をしているのかとか、彼女はいるのかとか、彼とそういう話をしたことが一度も無いから余計である。