蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
その距離感を受け入れられず顔をそらしたけれど、水岡先輩の指に顎を持ち上げられ、すぐに見つめ合う格好へと戻されてしまう。
「まっ、待ってください」
「好きだよ。花澄ちゃん」
「ダメです先輩。やめてください!」
私の言葉など耳に入らぬ様子で、水岡先輩が顔を近づけてくる。
「やめてったらっ!」
力の限り叫んで反抗してみるけれど、力で抑え込まれてしまう。
唇が触れてしまいそうになる。
視界に涙で滲んだその瞬間、温かなものが私の口を覆った。
「やめてと言われていますよ? 聞こえないのですか?」
自分の口を覆う大きな手と、頭の後ろから発せられた声に、思わず目を大きくさせる。
肩越しに振り返ろうとしたけれど、思ったよりもすぐそばに彼の顔があったため、私は慌てて視線を前へと戻した。
危機を救ってくれたのは、中條さんだった。
水岡先輩に迫られたことへの動揺や、中條さんが突然現れたことへの驚きで鼓動が速くなっている傍ら、なぜか落ち着きを取り戻しつつある自分がいる。
心と向き合えば、彼が来てくれたことに安心しているのだと気付かされ、一気に恥ずかしくなっていく。