蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~

返ってきた言葉にホッとしたのも束の間、私を見下ろしていた水岡先輩の顔が、すっと真剣さを帯び、ギクリとさせられる。

すぐにこの両腕から解放されると思っていたのに、なぜかまた彼が再び私の身体をきつく抱き締めてきた。

焦って抵抗するけれど、やっぱり私の力では彼の両腕を押しのけることはできなかった。


「花澄ちゃん。さっき言ったことだけはしっかり覚えておいて欲しい」


腕の中で身体を固くさせながら、彼と見つめ合う。


「俺と一緒に働いて欲しいってことと、俺が花澄ちゃんの彼氏に立候補したいってこと」


眼差しや声から伝わってくる真剣さに、私は戸惑うことしかできなかった。


「OKの返事をもらうまで、簡単に諦めたりなんかしない。俺、花澄ちゃんのこと本気になっちゃったから」


背中に触れている水岡先輩の手が私を引き寄せようとする。

先ほどよりも密着した身体から伝わってきた熱に、ぞわりと嫌悪感が湧き上がってくる。


「水岡先輩、やめてくだ……」


視線を上げ、息をのむ。

今にでも唇が重なり合ってしまいそうなほど近くに、水岡先輩の顔があったからだ。


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