蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「それにしても、花澄ちゃんは相変わらず綺麗だね」
「……えっ……あ、ありがとうございます……」
突然褒められたことに、警戒心がむくむくと膨らみ出し、名刺を持つ手に無駄な力が入ってしまう。
「あの頃の仲間に、花澄ちゃんと会ったって自慢したくなるな……そうだ、今度みんなで集まらないか? あとでそこに連絡ちょうだい」
瞬間、名刺を受け取ってしまったことをちょっぴり後悔する。
水岡先輩はこれを機に高校時代の仲間みんなで集まりたくて、まずはそのメンバーの一人に考えている私と連絡を取り合えるようにしておきたいだけ。
……単純にそう考えるべきなのに、過去の記憶に邪魔され、つい深読みしてしまう。
水岡先輩は「はい」という返事を期待して待っているかのような顔をしているけれど、私はどうしてもその二文字を言葉にすることができなかった。
笑顔で誤魔化そうと試みれば、そんな私の気持ちを察知したらしく、水岡先輩が次の一手を打ってきた。
「必ず電話してくれよな!」
小声で念押した上で、再び私からの良い返事を待っているような顔をする。